スポーツターフ
(天然芝舗装)
によるグラウンド舗装

『スポーツターフ』とは、「ターフ(turf)」は芝生の意味であり、「スポーツ」、とりわけ激しい動きを伴う競技に適した天然芝です。フィールド舗装では、芝生とその下の芝生を生育している土(床土)までを含めたものを『スポーツターフ(天然芝舗装)』と指しています。
『スポーツターフ』として必要な性能として、競技の踏圧に耐えクッション性が高い、ターフの形成や損傷回復のための成長が早い、一年中緑を保ち美観を保つなどいくつか条件があり、土壌については芝生の生育に適していることや排水性が求められます。
日本体育施設では『スポーツターフ』の施工まわりから運用開始後の管理まで、長期的なサポートを行います。

product.01 スポーツターフ
(天然芝舗装)
の調査・計画・設計

球技場の芝生舗装『スポーツターフ』は、他のスポーツサーフェスと異なり、生きています。そのため、日照や気温、水分、土壌等の生育環境条件によって、コンディションが変化します。これらをバランス良く整えていくためには、設計段階からの熟慮が不可欠です。

造成のための専門的な調査と計画

まず、気温や日照条件といった環境要因について検討していきます。地域レベルの条件に加え、フィールド内における局所的な気象条件(スタジアムでできる日陰の問題など)も含めて、多角的に判断します。 それと同時に、利用頻度や維持管理体制について考慮していくことが大切です。
こうした作業を省略してしまうと、最悪の場合、フィールド全体が利用できなくなる恐れもありますので、ひとつひとつ真摯に取り組んでいきます。
維持管理の難しさから、敬遠されることもありますが、専門的な調査と計画に則って造成された『スポーツターフ』は、比較的維持しやすく、良好な状態で保つことも困難ではありません。
プロプレーヤーの使用から、地域の公園、日々利用される学校グランドのターフに至るまで、さまざまなニーズに応じます。

設計時のポイント①
最適な芝生の選定

上述の、調査や造成後の計画と並行して、『スポーツターフ』の具体的な設計を行っていきます。どんな種類の芝草を選定するか、どういった舗装構造(土壌断面)にするのか、等がポイントになります。

はじめに種類ですが、芝草は生育適温の違いから2つに大別することができます。
ひとつは暖地型、もうひとつが寒地型です。四季のある日本では、季節(気温)によって、暖地型と寒地型の生育旺盛期が大きく異なります。
そのため、日本で常緑のターフを保つ場合は、暖地型と寒地型を共存させる手法を採用するのが一般的です。これを「ウインターオーバーシーディング」と呼んでいます。
いずれにしても、どのような『スポーツターフ』を造成し、どう維持したいのかによって、適切な芝草を選定することが重要です。

設計時のポイント②
環境に適した舗装構造

続いて舗装構造について検討します。
『スポーツターフ』は、一般的な芝生広場やゴルフ場とは異なる環境条件下に置かれる特殊な芝生ですので、専門的見地に立った構造を採用します。その「特殊性」とは、例えば以下の点です。
1)踏圧ストレスが激しい
2)降雨直後や降雨中にも、良好なコンディションが求められる
3)使用後は早期回復を要求される
4)プレーヤーの身体にかかる負担を軽減する必要がある
こうした条件を踏まえ、舗装構造をプランニングしていきます。状況によって内容は変化しますが、当社がご提案する基本的な構造は、右図の通りです。
路盤を築いた後に、排水性の高い豆砂利を敷き、床砂を30cmとします。 同時に、完成後に適切な給排水が行えるよう、給水設備や暗渠管の布設についても、設計に組み込んでいきます。表面勾配等、ルール上の規制が及ぶ部分については、 目的と状況も配慮しながら検討します。
ポイントをひとつずつ捉えようとしても、互いに影響を及ぼし合う事象が多く、『スポーツターフ』の設計には総合的な判断が欠かせません。お困りの際は、ぜひご相談下さい。ワールドカップが開催されたスタジアムから、学校校庭の『スポーツターフ』まで、幅広く携わってきた当社の専門スタッフが対応致します。

product.02 芝生の種類①暖地型芝生

サッカー場をはじめ、ラグビー場やアメフト場など、スポーツに供される芝生は、踏圧に強いこと(耐踏圧性)が求められます。また回復力が大きいことも重要です。 そして、プレーイングクオリティに優れていなければなりません。このような複数の条件を満たす芝生の種類は、それ程多くありません。現在、主に利用されている暖地型芝草は、「ノシバ」、「コウライシバ」、「ティフトン」の3種類であると言えます。

日本芝:ノシバ・コウライシバの特徴

「ノシバ」と「コウライシバ」は、共に我が国在来の草種なので、日本芝と総称されることがあります。施工時は、ソッドやロール状の芝生を用い、ターフを造成するのが一般的です。

改良ノシバ(葉が短く、芝刈り回数を減らせる 等)

「ノシバ」は比較的葉幅が広く、粗なターフになりますが、踏圧には耐性があります。省管理下でも維持可能ですが、プレーイングクオリティは劣ります。

改良コウライシバ(回復力が強い 等)

一方、「コウライシバ」は、「ノシバ」よりも数段細やかなターフを作ります。現在、公園やスポーツグランドで最も多く利用されています。但し、耐踏圧性は「ノシバ」ほど強くなく、回復力も遅めです。寒さにも強くありません。
「ノシバ」、「コウライシバ」共に、改良された品種(系統)があり、省管理タイプや秋の緑色保持期間が長いタイプ等が製品化されています。当社では、目的に合致した改良種の使用をおすすめしています。お気軽にご相談下さい。

ティフトンの特徴

「ティフトン」は、亜熱帯に生育するバミューダグラスと呼ばれる仲間から派生した草種なので、暑さに強い特長を持っています。 その分、耐寒性は低く、北関東以北で利用されることはあまりありません。寒さに加え、日陰にも非常に弱いですが、生育期における病気や踏圧に対する抵抗性は大変優れています。

ティフトンのターフ

造成時は、「ノシバ」・「コウライシバ」のようにソッド張りをするか、苗芝をまく機械まき芝工法を採用します。
難点は、ほふく茎が立ち上がりやすいことです。そのため、低めの刈り高で維持出来ない場所では、ターフになりません。窒素肥料の要求性も大きいので、維持管理を密に行うことが、必須条件になります。
寒地型芝生と組み合わせる「ウインターオーバーシーディング」を行う場合の ベース芝として多く採用されています。

暖地型芝生を利用した張り芝工法

暖地型芝生を利用した、一般的な張り芝工法についてご紹介します。

暗渠排水管設置

はじめに、芝床を造成します。 まず路床を整正し、芝床の基盤部をつくります。 必要に応じて、給排水設備も同時に設置していきます。続いて、排水層となる砕石層を整備し最後に床土を敷き均します。この時に、土壌改良材や肥料を混入します。

ロール芝を用いた張り芝

その後、芝生圃場で、充分に生育したソッド芝(平板状に切られたもの)やロール芝(ソッドより長く、マット状に切られたもの)を、並べて置いていきます。その後、目砂を散布して、軽量のローラーで転圧します。

芝張り後の目砂散布

ここまでの作業が終わると、ターフは「完成」したように見えます。しかし、芝生は自重でその場に置かれているだけで、まだ地に付いている訳ではありません。芝生が自ら根を“張”って、はじめて、「芝が“張”られた」と言えるようになります。ですから、それまでの期間は養生期間として保護しなくてはなりません。可能であれば、この養生期間と芝生の生育旺盛期が重なるように設定します。 その方が、より短期間で良質なターフを完成させられます。
とはいえ、一定期間の立ち入り禁止期間は最低限必要です。もちろん、この間の散水や刈り込み、施肥等も欠かせない作業ですので、 適宜行っていきます。

機械まき芝工法

機械まき芝工法

次に機械まき芝工法についてご紹介します。

苗芝

上記の張り芝工法と、床土の造成までは基本的に同じです。異なるのは、芝生を張る段階からで、ここで利用するのがソッドやロール芝でなく、苗状の芝草になる点です。
機械まき芝工法では、従来のまき芝工法と異なり、芝苗の散布、押さえ込み、表土の被覆を連続して行うため、苗芝の乾燥を防ぐことができます。
施工後は光透過性のある養生シートで覆い、初期養生作業に移行します。
ソッドを利用した張り芝よりも、低コストで均一なターフを造成でき、完成後の美観も優れます。機械まき芝工法は、生育力の旺盛な「ティフトン」に特に適しています。

product.03 芝生の種類②寒地型芝生

サッカー場をはじめ、ラグビー場やアメフト場など、スポーツに供される芝生は、踏圧に強いこと(耐踏圧性)が求められます。また回復力が大きいことも重要です。 そして、プレーイングクオリティに優れていなければなりません。このような複数の条件を満たす寒地型芝生で、現在多く利用されているものは、ブルーグラス類、ライグラス類の3種です。

ブルーグラス類の特徴

ケンタッキーブルーグラス

共に常緑を保持する草種で、夏季や冬季に生育が鈍ることはあっても、休眠することはありません。
関東地方でも、寒地型芝生で常緑を保持している球技場もありますが、関東以西では、夏季は暖地型芝生で常緑を保持している施設が多く見られます。
ブルーグラス類は、地下ほふく茎による繁殖を行うので、耐踏圧性に大変優れています。 低刈りにも耐え、回復力も早く、『スポーツターフ』に適しています。宿根性で長期間生存することも利点のひとつです。反面、初期生育が遅いので、養生期間を長く要します。

ライグラス類の特徴

ライグラス

ライグラス類は、比較的短命で、自然環境条件や踏圧に対する耐性も弱めです。しかし、初期生育が非常に早く、地表面を被う速度は群を抜いています。そのため、ほかの草種と組み合わせて良く利用されます。
ウインターオーバーシーディング」にも用いられます。

播種工法

一般的な播種工法について、簡単にご紹介します。
まずは、健全な芝生を育成するのに適した芝床を造成します。基本的には、暖地型芝生と同様ですが、寒地型芝生の方が病害虫の発生が起こりやすく、トラブルの懸念が大きいため、芝床には、排水性の高い砂を採用するのが一般的です。

播種した表層

播種後、覆土転圧してターフ造成

芝床が完成した後、芝生の種子を播種し、ターフをつくり上げます。現場で直接芝生をつくるため、ソッドを運搬する労務や運賃が必要ありません。そのため、初期コストは低く抑えられます。
しかし、播種後の養生期間は長く必要で、さまざまな維持管理作業を要します。

散水と養生

例えば、散水作業。種子が根付く前は、乾燥や流出の恐れがあるため、充分留意しながら行わねばなりません。また、風による飛散も懸念されるので、ネットで覆う等の養生が必要です。芝生の密度が上がらないうちは、雑草が侵入しやすいので、除草対策も大切です。
播種直後の初期管理作業は多岐に及ぶため、一般的な張り芝工法に比べると、専門的な技術が必要と言えます。

product.04 ウインターオーバー
シーディング

年間を通じて利用される球技場は、常緑であることが求められます。常緑でない(冬季に休眠する暖地型芝生の)ターフは、通年利用には向きません。なぜなら、休眠中は損傷しても回復しないため、裸地化が進行するからです。

北関東以北では、寒地型芝生を採用すれば、エバーグリーンのターフを造成することができます。
一方、関東以西では、寒地型芝生の単独使用は難しいため、暖地型芝生と共用します。まず、暖地型芝生をベースにして、『スポーツターフ』を造成します。その後、秋に寒地型芝生を播種します。こうして両者を共存させながらターフを維持する手法を「ウインターオーバーシーディング」と呼んでいます。

スプリングトランジション

ベースに利用される暖地型芝生には生育力旺盛な「ティフトン」、オーバーシードされる寒地型芝生には初期生育の早いペレニアルライグラスが、よく利用されています。

ベース芝として多用されているティフトン

理論上、“夏は暖地型が元気になり、冬は寒地型が旺盛になる”ため、「ウインターオーバーシーディング」は、難しくないように思われます。しかし、春先に寒地型から暖地型へ切り替える作業は、非常に専門的で難しいのが実情です。
春先の切り替えは、「スプリングトランジション」と呼ばれます。主目的は、暖地型を目覚めさせることです。そのためには、春先、まだまだ元気な寒地型を大きく損傷させ、人為的に衰退させねばなりません。損傷させる作業には、バーチカルカットやコアリング等があります。

ウインターオーバーシーディングの
作業の流れ

一般的な「ウインターオーバーシーディング」作業の流れについて、ご紹介します。

秋/暖地型芝生と入れ替わり、生育を始める寒地型芝生の様子

バーチカルカット

秋(9~10月頃)に、暖地型芝生の勢力を衰えさえるところから、作業が始まります。バーチカルカットと呼ばれる作業を行い、暖地型のほふく茎や根を損傷させます。まだこの時期は気温が高いも多いので、暖地型芝生の回復力は強力。かなりのストレスを与えることで、生長を抑え込んでいきます。
続いて、寒地型芝生を播種します。播種後は、種子の乾燥を防ぐために充分散水します。発芽後は、寒地型芝生の生育に勢いをつけさせるために、適宜施肥を行います。その後は適時刈り込みを行っていき、ターフを造成していきます。

コアリング

一方、春は、寒地型芝生を可能な限り低く刈り込み、暖地型芝生に日を当てるようにします。暖地型芝生の勢力が増してきたところで、寒地型芝生を損傷させる作業を本格化させます。

粒肥散布状況

バーチカルカットやコアリングを行い、寒地型芝生を衰退させた後、暖地型芝生の勢力を後押しする施肥を行います。
この切り替え作業には、経験と専門的知識、技術が不可欠です。当社では、春と秋の切り替え時、高い技術と豊富な経験を持ったスタッフによる管理を行って、ターフクオリティを確保します。

product.05 水分調整型土壌システム


『スポーツターフ』の土壌構造は、排水性に優れていることが必須条件です。サッカーやラグビーといったスポーツは、悪天候でも行われる場合が多いので、 “降雨後や降雨時でもプレー性の低下しないターフ”であることが重視されるからです。芝生の生育環境上も、水はけの良さは大切な要素です。
しかし、逆の観点に立つと“『スポーツターフ』の土壌は大変乾燥しやすい”と言えます。度重なる散水は、手間やコストを増幅させるばかりでなく、環境へも負荷をかけます。
そこで、当社は降雨を最大限に利用することを考えました。尚かつ、散水作業を軽減させることを目指し『水分調整型土壌システム』を開発しました。

水分調整型土壌システムの
メカニズム


球技場の芝床部分をプール状の貯水槽にし、降雨時や散水した水を貯水します。雨水は床土の砂層を通過している水なので、非常に綺麗な状態で保たれます。
そして晴天時には、芝生が自ら吸水できるよう、水位調整桝によって、水位をコントロール。水位を高くすれば土壌水分が増え、水位を低くすれば土壌水分が抜かれます。
芝床の給排水を調節することが可能なので、管理の手間やコストを削減できます。

水分調整型土壌システムの評価

「水位調節機構を持つ貯水型芝床構造」
平成12年12月27日 技審証第1202号

「散水」という面だけではなく、ターフの健全性を向上させる可能性も持っています。土壌の深い位置から吸水させる仕組みなので、芝生は自然と地中深くまで根を張るようになります。根をしっかり張った芝生は、耐踏圧性に優れ、スポーツに適したターフになります。
こうした機能が認められ、平成12年、本システムは、当時建設大臣の認定機関であった(財)都市緑化技術開発機構より、技術審査証明書の交付を受けました。

水分調整型土壌システムの
施工方法

はじめに、路盤を整正して抜気管を布設した後、遮水シートを保護するためのクッション砂を敷き均します。そして水位調整管(暗渠管)の管路を掘削した上で、遮水シートを展開し、熱溶接しながら巨大な“地下プール”をつくりあげていきます。
路盤までの基礎土工を終えた後、遮水シートと貯水システムに関する工事を完了させるのに要する期間はおおよそ6週間程度です。
シートの敷設が終わった後は、通常の芝生工事と同じ手順で工事を進めます。まずは水位調整管を布設し、遮水シートを傷めないように排水管と床土を造成。そして、ターフをつくります。

product.06 スポーツターフ管理

サッカー場やラグビー場、アメフト場などの『スポーツターフ』を維持管理していく上で、大変重要なことがあります。 芝生を舗装材として捉えるのではなく、“生きた植物”として理解することです。同時に「高温多湿に弱い芝生を梅雨のある日本で育成し、その上、踏圧ストレスを与え続ける」ことが、 非常に過酷であると再認識することも大切です。

スポーツターフの維持管理の計画

確かに、青々としてタフなフィールドには魅力があります。しかし、そのためには、甚大な管理費や、ターフの状態を常に把握しているキーパーの常駐が欠かせません。養生のために使用禁止とする期間を設けることも不可欠です。その一方で、中庸的なクオリティと管理体制を前提に、高頻度な使用を望むケースも数多く存在します。
私たち日本体育施設は、利用形態と管理のレベル、コストなどを複合的に考慮し、 「現地に調和する、より良い手法」となるような維持管理計画の立案を大切にしてまいります。

スポーツターフの維持管理作業の内容

維持管理作業は、3種類に大別することができます。

芝刈り

ひとつめは、芝生の育成を管理する作業です。例えば、散水や施肥、刈り込みといった基本的な内容に加え、目砂掛けやエアレーション、「ウインターオーバーシーディング」等があります。

コアリングによる根長調査

次に挙げられるのは、芝生を保護するために必要な作業です。病害虫や雑草から防護するために行う薬剤の散布が代表的です。生育状況の診断、土壌の診断も、次の保護策を打つためには欠かせません。

プレーイングクオリティ試験(ボールの転がり調査)

また、管理作業によって維持されるターフのプレー性を客観的に判断するため、必要に応じて、プレーイングクオリティ試験も行っています。
3つめは、補修管理です。使用後の損傷箇所を修復するディポット補修、部分張り替え等です。圃場での芝生育成を並行して行うことが必要です。
ターフの状態を常に見極めながら、必要なメンテナンスを随時組み合わせながら作業を行います。