MENU

陸上競技場の施工に関する基礎知識
―日本体育施設の技術者が教えます!―

このページでは陸上競技場の建設にまつわる基礎知識をご紹介します。

回答するのは日本体育施設で設計職として長年陸上競技場の建設に携わる社員、窪田利彰。

陸上競技場の施工について

Q 01 |

陸上トラックはどうやってつくっているの?

A 01

陸上トラックを造るためには、表面のウレタン部分の下地舗装として道路で見かけるようなアスファルト舗装や舗装止めの役割を果たす縁石、走路表面の水を排水する内圏側溝の工事を行います。

まず、内圏側溝と外周部の縁石を施工し、次に、下地舗装としてアスファルト舗装を施工します。

その次に、表面のウレタン部分の施工を行います。

当社製品『レオタンαエンボス』は、「2液混合型のウレタン」であり、2つの性質の違う樹脂を化学反応させ固めますので、工事現場では特殊なミキサーを使って材料を混ぜ合わせてから、流し込んでいきます。

表面のローラーエンボス仕上げは、ローラーを行ったり来たりしながら表面に加工を施していきます。

陸上トラックの縁石を据え付ける施工の様子

縁石

陸上トラックの下地となるアスファルト舗装の施工

アスファルト舗装

ウレタンを塗布し陸上トラック表面を仕上げる施工

ウレタン舗装

建設現場のDX化に伴って、日々新しい施工方法が生まれていますので、私自身も改善の意識で取り組んでいます。

Q 02 |

陸上トラックのカーブの形状はどのようにつくられているの?

A 02

陸上トラックの基準となるのは、フィールドの中心の「礎石」・「中心石」と直線部と曲線部の境にある「角石」です。

基準点から1レーン内側の内圏縁石(カービング)、ラインの位置を測りだし、カーブの形状を決めます。

陸上競技場の中心基準となる礎石の設置状況

礎石

直線と曲線の境界位置を示す角石

角石

内圏縁石により形成された陸上トラックのカーブ形状

内圏縁石(カービング)

①内圏側溝、外周縁石
内圏側溝と外周部の縁石を設置するときは、基準杭(くい)を立てて、それに合わせて側溝や縁石を設置していきます。

この時、内圏側溝では基準杭の間隔を狭めたり、縁石では設置用定規を使用したり、トータルステーションで細かく確認することによって、施工精度を高め、キレイなカーブに仕上がります。

測量機器で位置を確認しながら縁石を設置する様子

内圏側溝

②内圏縁石(カービング)
1本づつに内圏縁石の両角を、光波(こうは)・レベル測量機で計測しながら設置します。

ここでも、細かい計測を行うことによって、施工精度を高め、キレイなカーブに仕上げることができます。

測量を行いながら内圏縁石を調整する様子

内圏縁石調整

③ライン
まずは、『墨出し』です。基準となる石である「礎石」からインコース、アウトコースまでの距離を測りだし、『墨』を打ちます(印をつけます)。

各コースの目印になる『墨』(しるし)は、インコースとアウトコースの『墨』を基準に、メジャーをあてて、各レーンの幅に合わせた『墨』を打っていきます。

この工程の作業は反復横跳びの様な動きですが、2km分のこなしますので、なかなかのトレーニングになります。

その後、『墨』を基準に2mの型枠(右の写真)を使って、ぐるっと一周のラインを吹付けます。

型枠を用いて陸上トラックのレーンラインを施工する様子

レーン・ライン

Q 03 |

陸上トラックの距離はどうやって正しく測っているの?

A 03

陸上トラックの1周の距離は、内圏縁石から30cm外側(内圏縁石が無い場合は、20cm)のところをランナーが走ることが想定され、設計されていますが、日本陸連の規格に合致しているかを確認するため、公認検定を行って、正しい距離を測ります。

この際は、基準となる礎石・中心石、角石、標石を光波(こうは)や日本陸連公認検定尺を用いて測り、計算することで正確な計測が実施されています。

測り方は、世界陸連(WA)、日本陸連(JAAF)により異なりますので、紹介します。

世界陸連(WA)の場合は、光波を用いて角石間の距離を計測して、計算します。

陸上トラックの公認検定において、トータルステーション(光波測量機)で距離や位置を測定している様子

日本陸連(JAAF)の場合は、中心石からそれぞれの礎石までの距離を計測して、計算します。

計測に用いる日本陸連の公認検定尺は、鉄製のため、気温によって鉄が伸縮する場合の温度補正を計算します。

また、メジャーを引っ張る力が一定になるように、「ばねばかり」を使用します。

陸上トラックの公認検定において、日本陸連の検定尺を用いてレーンの距離を測定している様子

いずれも、施工誤差は、1周で10,000分の1まで許容範囲が認められていますが、マイナスは認められていません。

カーブの半径が1mm長くなるとトラック1周では約6mm長くなってしまうので、ミリ単位で施工精度を高めます。

陸上競技場のトラックのイメージ
技術本部 技術営業グループ チームリーダー窪田 利彰さんのイメージ
窪田 利彰
技術本部 技術営業グループ チームリーダー
日本体育施設での工事現場での施工管理の経験を経て、現在は工事を専門的な知識とノウハウで支える開発・設計の業務に従事
平成30年優秀施工管理者顕彰
(ジュニア建設マスター)